在宅勤務中の子供たちや家族との過ごし方

 

2020年は、「多くの人々が沢山のストレスに悩まされた年」と言われます。しかし、現実はそれ以上のものだったのかもしれません。

友人や家族などから離れて「巣ごもり」していた方、平時と異なる勤務形態で働くことになった方、また、日常の業務量が増加した方など、各自がさまざまなライフスタイルの変化を経験しました。程度の差こそあれ、誰もが新型コロナウィルス流行でもたらされた劇的な変化に悩まされたのではないでしょうか。

最近、自分のメンタルヘルスについて考えましたか?

ロックダウンや外出規制は、孤独感を伴うものです。ですから企業やメディア、政府が今回の新型ウィルス流行をきっかけに、メンタルヘルスのケアがいかに私たちにとって重要であるかに注目してくれたことは非常に心強いことです。

しかし、子供の世話をしながら在宅勤務をするとなると、行き届いたケアはなかなか出来ません。仕事をしながら親としての務めを果たしていると、自分自身の健康について考える時間は殆ど残されていないのです。

しかし、メンタルヘルスの問題を放置しておくことは出来ません。例えば、バーンアウト(燃え尽き症候群)にかかった場合、検査もケアもしないままで過ごしていると、仕事にも家庭生活にもマイナスの影響が出てきます。そこで、今回のブログでは、在宅勤務しながら良好な健康状態を維持するためのコツをご紹介したいと思います。子育てをしながら在宅勤務をしている皆さんは、ぜひ試してみて下さい。

1. 健康的なルーティンが、健康な心を創り出す

別のブログ記事では、子供の世話と仕事を両立させるために有効な、家族のための基本的なスケジュール例をご紹介しました。良いルーティンは、良好なメンタルヘルスに繋がることを忘れないでください。

こうしたルーティンをスケジュールに組み込む前に、以下のポイントに注意して下さい。これらは、1週間単位で実行すると良いルーティンです。

  • 目標に向かって取り組む時間:一定の年齢に達すれば、人間は仕事や宿題、その他何らかの目標達成に向けて取り組む時間を必要とするようになります。目標や目的を成就することで、私たちは健全な目的意識と達成感を持つことが出来るのです。
  • リラックスする時間:スイッチを「切替え」るための時間です。時間は目標達成のためだけに使用するものではありません。あなたが楽しめることをする時間も設けましょう。読書、長めの入浴、テレビ番組の鑑賞など。こうしたオフ時間は、一日の緊張を解きほぐすためにも必要です。家族はお互いに、相手がリラックスするための時間を尊重しましょう。小さな子供がいる場合は、夫婦交替でこうした時間を確保することをお勧めします。

  • 家事の時間:すぐには頭に思い浮かびませんが、家事をきちんとこなすことは、良好なメンタルヘルスの維持に驚くほどの効果を発揮します。「きれいな家にはきれいな心」という言葉もあります。家族の一人一人が協力し合って、家事が一人に集中し、その人の負担を増やすことがないように配慮しましょう。
  • 家族全員で楽しむ時間:一緒に楽しい時間を過ごすためのスペースを設け、家族全員で一つのことを楽しむ時間を作りましょう。交替でそれぞれが自分のやりたいことを提案し合うのも有効です。ボードゲームをしたり、手の込んだ料理を作った後家族全員で食事を楽しんだり、映画を観たり、子供にクイズの問題を作ってもらったり出し物をしてもらっても良いでしょう。
  • 11で過ごす時間:複数の子供がいる場合には、それぞれの子供と2人きりでじっくりと過ごす時間を作りましょう。こうした時間は、子供が成長するにつれて重要になります。幼い子供は、親に注目してもらったり手を貸してもらったりすることを必要としています。しかし一方で、成長して自立した子供や中学生くらいの子供たちもまた、両親と過ごす時間を必要としているのです。成長した子供たちが自分の気持ちを素直に打ち明けるためには、プライバシーに配慮し1対1で話し合う時間を持つことが必要です。毎日でなくとも、週に何度かはこうした子供たちと一緒に楽しむ時間を持ちましょう。夕方の散歩、週末のお菓子やパン作り、テレビ番組の鑑賞などが良いかもしれません。あなた自身にとってもこうした時間が、一週間のうちで最も楽しみな時間になるかもしれません。

2. 近況を報告し合う

効果的なコミュニケーションは、メンタルヘルスの向上に繋がります。家族一人一人に、毎週忘れず「最近、調子はどう?」と声を掛けてみましょう。昨今のように状況が激変する時代にはさまざまなことが起こります。この結果、家族の中には、あなたが感じるよりも遥かに大きな悩みや不安に苛まれている者もいるかもしれません。そんな時は、子供の話に耳を傾け、子供が自分に何を求めているのかを質問してみましょう。会話の内容を、他人に漏らしてはなりません。また、じっくり話を聴くこともなく、即座に善悪を判断してしまわないように気をつけましょう。

ただし、自分自身のことが疎かになってはいけません。自分自身が現在どのような気持ちでいるのか、また、それは何故なのかを問いかけてみることが大切です。落ち込んだ気分を回復させるためにはどうすれば良いかも考えてみましょう。また、家族に自分の今の気持ちを話してみることもお勧めします。そうすることで、家族もあなたの気持ちを理解することが出来ます。子供たちもあなたのそうした姿を見て、自分の感情を冷静に伝えることは意味のあることで、自分たちもそのようにすべきであると学ぶことになります。こうしてあなたを取り巻く環境が変化していけば、あなたのメンタルヘルスにも良い影響がもたらされることでしょう。

3. 物理的な境界を作り出す

外出規制策が発出されたことで、多くの労働者が在宅勤務にシフトしました。そこで初めて私たちは、仕事専用のスペースを持つことの大切さを実感するようになったのです。専用の「仕事場」に着席することによって、仕事への心構えが整うだけではありません。家族に対しても、あなたが今から仕事を開始すると宣言する効果があるのです。その仕事場にいることで、「仕事中は出来るだけ邪魔しないで」とメッセージを発信していることになるからです。

在宅勤務開始後は、家族と過ごす時間が増加するに伴い、一人でいられる時間は減少しました。それだけに一層、こうした個人用スペースへのニーズが高まっているのです。家族はそれぞれ、自分のプライバシーを安全に守るための場所を持っていますし、子供たちは親に立ち入って欲しくない「境界線」を持っています。これを尊重し、例え兄弟姉妹でもお互いの寝室に入るときは部屋のドアをノックすること、また、一人になりたいときは部屋に入らないよう周知することを奨励して下さい。

4. 同僚は、あなたの事情を察してくれる

子供を抱える労働者にとって、大きなストレスとなっているのが、オンライン会議やプレゼンの途中で子供が割り込んできてしまうリスクがあることです。特に子供がまだ幼い場合や、自分も配偶者も2人同時に仕事に集中しなければならないときには、こうした心配がなおさら強くなるでしょう。しかし、こうした状況に理解を示してくれる同僚も沢山います。多くの人々があなたと同じ状況で働いているからです。オンライン会議や電話会議などの前に、子供や配偶者の状況などあなたが置かれている状況を知らせておけば、落ち着いて仕事に臨むことが出来るかもしれません。同僚が信頼できる人たちならば、こうした会議のときに自分の子供を紹介しておくことも効果的でしょう。

5. 体を動かすこと

エクササイズは、体の健康だけではなく、心の健康を効果的に維持するためにも有効です。軽く体を動かすと、自信が高まり集中力が増進します。また、ぐっすりと眠れるようになります。公園の散歩やガーデニング、または普段よりも少し手間がかかる家事でも構いません。家族と一緒に1週間に5日、それぞれ30分間以上こうしたエクササイズを心掛けると良いでしょう。

6. 休暇を取り、新しい楽しみ方を発見する

休暇の取得も大切です。時には仕事を休んで休みを楽しみましょう。しかし、現状ではコロナ禍前のように、外で太陽の光を浴びながらくつろぐ休暇は難しいかもしれません。その代わり、自宅で快適に過ごす方法を考えてみるのです。自宅は生活したり働いたり、勉強をしたりするだけの場所ではありません。

では、こうした状況下では、どのようなプランニングが有効なのでしょうか。以下のポイントを参考にしてみて下さい。

  • 仕事を忘れる:休みに入ったら、在宅勤務で使用しているポータルや仕事のメールにはアクセスしないよう心がけましょう。
  • 普段とは異なるペースで生活してみる:上記では家事の大切さについてお伝えしましたが、休暇中には敢えてこうした習慣を変えてみましょう。あなた自身も家族も、普段よりもゆっくりと家事をこなせばよいのです。また、就寝時間を遅めにしたりして、日々の雑事から解放されることも大切です。
  • 自宅で世界旅行を楽しむ:昨今の状況では、旅行をしたくても飛行機に乗って現地に向かうことはなかなか出来ません。しかし、その代わりに楽しめる方法がいくつかあります。毎日「目的地」を決めて、家族全員でその土地の食べ物を楽しんだり、文化を学んだり、現地で出版された本を読んだり、その国の映画や音楽を鑑賞しても良いでしょう。

7. お互いを思いやる関係を

最後にお伝えしたいのは、お互いを思いやることの大切さです。コロナ禍で、私たちは優しく接し合うことがいかに大切であるかを学びました。自分ならどのように接してもらえば嬉しいのか、また、相手は何に悩んでいるのかを考えながら交流していきましょう。

家庭でも、思いやりのある雰囲気を育むことが大切です。在宅勤務が長引くことで、家族の関係がぎこちなくなったり、緊張してしまったりすることもあるでしょう。しかし、これはごく自然で当たり前のことなのです。時には互いに相手の細かい欠点に眼を瞑り、相手は相手なりのやり方でストレスに向き合っていることも理解しておきましょう。困難な時期ではありますが、家族がここまで一緒に過ごせる時間は、今後二度と訪れることがないかもしれません。同じ目標に向かって努力すれば、家族の絆は一層深くなることでしょう。

お互いに支え合えば、家族の幸福度は向上します。家族全員にとって、また自分自身にとっても労りのある生活を心掛けましょう。

 

ギャリー・ブレイク & ジェームス・ミリガン

ギャリー・ブレイクは、1999年にヘイズに入社し、ロンドンのヴィクトリアにある建設・不動産部門でキャリアをスタートしました。以降さまざまな業界のコンサルティング業務や事業運営に携わり、2009年にはHays Career Transitionsプロジェクトの立ち上げにも参加しました。2018年には、ヘイズUK&Iのディレクター・オブ・パーマネント・アポイントメンツに任命されています。Universities of Warwick(ウォーリック大学)と Universities of Bath(バース大学)を卒業。経営学で学士号(honours degree)と修士号を取得。

ジェームス・ミリガンは、2000年にヘイズに入社し、テクノロジー部門のグローバルヘッドに就任。2000年に入社し、ヘイズのテクノロジー部門のグローバル・ヘッドとして、グローバルなテクノロジー・ビジネスの戦略的開発を担当している。